「ちょっ、何すんだよ」
僕は小町からそれを奪い返した。
「何すんだよ、じゃないし。これドロボウじゃん。すごい困ってたよ?」「・・・あー、いま届けに行こうと思ってたの!」
声が焦る。
「あっ、じゃああたし、代わりに届けてあげよっか」
小町が手を差し出した。
「や。いい。自分で届けに行くから」
「でも、もう家帰っちゃったと思うよ?」
「マジで?じゃあ、明日の朝渡そうかな」
「それならあたし、家近いし、渡しといてあげる」
小町はどうしても自分が渡したいみたいだ。でも、谷村さんとはクラスが違うし、自分から話すキッカケにもなる。チャンスだ。