「わっ!…ちょ、柚加(ゆずか)!」
「おぉ〜?見ちゃったぞ??」
「あああ言わないで!」
腰に絡まる柚加の腕を払った。
原田柚加は私の親友だ。
美人で元気でとにかくモテる。
「ほぉほぉ琴羽にもついに春が来るのかなぁ?」
ニヤニヤしながら言う柚加を緩く睨む。
「もう!からかわないで!行ってくる!」
急いで教室を出ようとする私に柚加は、
「頑張れよ〜!琴羽!」
と声をかけた。
廊下に出るとそこには壁にもたれて他のクラスの準備の様子を見ている吉田くんの姿があった。
「あ、行こっか」
ぱっと振り向いた。