淡雪のように微笑む君を


「ごめんね、愛衣」

「どうして謝るの?」

貴方は私に何かしただろうか?

ううん、何もしてないよ。私は何もされてない。

どうして謝るの?

どうして、そんな泣きそうな顔をしているの?

彼の顔を見ているのがなんだか辛くなって、咄嗟に目を逸らした。
それでも彼が私を見つめていることは、手に取るように分かる。

泣きたいのも、辛いのも彼のはずなのに、頬を濡らすのは私。

私も彼も、本当はその理由を分かっているのに、この数ヶ月ずっと耐えてきた。

泣いたら負けだ、と。

希望を持てばいいんだ、と。

ワケも分からず涙が溢れてくるんだ、と心に言い聞かせてきた。

お互いに一人になると、啖呵を切ったように嗚咽を漏らすのだ。

「ごめん、ごめんね、愛衣。…泣かないで」

「っ…〜〜、っ」

泣いちゃ駄目だ。 1番辛いのは希咲なんだよ。

私は支えてあげなければならないんだよ。

必死に生きている彼を、支えなきゃダメなんだ。