淡雪のように微笑む君を


ふわりと吹いた風が春の匂いを運んでくる。

暖かな日差しが彼の温もりのように暖かくて、気持ちがいい。

「……“他の人と幸せになって”って、手紙に書いてあったけれど…」

木から一斉に飛び立った白い鳥たちを見送りながら、私は彼が眠る墓前で微笑んだ。

「…ごめんね、なれないや」

あなたに恋した日から、私はあなたのもの。

この命の灯火が消えて、別の世界で生まれ変わっても、私はまたあなたに恋をするから。

小さな命が、自分の存在を主張するかのように、ポン、と私のお腹を蹴った。

彼が残した、小さな愛おしい命。

抱きしめるように手を当て、私は足先を出口の門へと向けた。

満開に咲き誇る桜を、いつか、またあなたと見ることが出来たのなら。

「………希咲」

——目を閉じれば、微笑むあなたがいる。