淡雪のように微笑む君を


「…どうして僕は、君を幸せにすることが出来なかったのだろう」

ゆらゆらと彼の瞳が揺れ、瞼を閉じた瞬間に哀しみの雫が溢れ落ちた。

私を抱き締めていた腕が雪が降り止むかのように解かれ、すっかり細くなった身体が小刻みに震えている。

涙に濡れた唇がわなわなと震え、必死に何かを伝えていた。

それが悲しみの波なのか、切ない風なのかは分からない。
分からないけれど、そんな彼を見ていたらどうしようもないくらいに泣きたくなった。

「っ……希咲っ…!」

枯れる花のように笑った彼が、力無く私の腕の中に倒れる。

強く揺さぶっても反応は無いし、何度も名前を呼んでも返事は無い。

眠るように瞳を閉じた彼の表情は、闇に薄っすらと現れる陽炎のように、とても美しかった。