ごめんね、希咲。
私はあなたに何もしてあげられなくて。
私はたくさんのものを貴方からもらったのにね。
そばにいることしか出来なくて、日に日に弱っては儚げに微笑むあなたに何も出来なかった。
その時間に終わりが近づいていることを知っていても、目を逸らして、逃避して。
「…僕の目を見て、愛衣」
嫌だ、見たくない。
あなたが何を言うのか、怖いよ。
頬に添えられていた手は、ゆっくりと顎部を持ち上げ、無理矢理彼の方を向かされる。
涙で滲む視界に映るのは、綺麗なあなたの顔。
私が大好きな優しい笑顔。
ゆっくりと私の顔に近づくと、彼は唇を重ねた。
決して短くはない、重なった時間。
きっと、これが最期。
なんとなく、そう感じていた。
彼もそうだったのだと思う。
名残惜しくも離れた唇。
閉じていた瞳を開ければ、綺麗な透明な雫が彼の瞳から零れ落ちていた。
それを見た途端、胸が切なくなった。



