「 晃くんはどんな仮装考えてる?」と私が聞くと、

「仮装ですか?そんなことする日があるんですか?」と言われてしまった。

「あら?私でも知ってるのに。この世界の文化になりつつあることよ?10月31日ハロウィンの日に仮装してトリックオアトリートと言ってお菓子を貰い歩いたりするのよ?モトモトは収穫祭ってことらしいけど、ここではそうなんだって」と私は言う。

「へぇ。だから皆空気違うんだね。どちらかと言うと、浮かれているというか…」と晃くん。

「まあ、人間はもちろんのことなんだけど、私たちみたいな普段人間として暮らしてる人たちも、仮装いわゆる、自分のの元の姿でいても何も言われず、皆が楽しめる日なのよ」と私は言った。

「去年、スゴいやついたよな?特殊メイクで、ゾンビしてたやつ…」と省吾は言った。

「そうね。あれにはかなり驚いたわ。クオリティー高すぎて!今年はどんな仮装見れるのか、楽しみね。私は魔女になり、省吾はヴァンプになるのよ」と私は言う。

「良い文化ですね。俺も何にするか、考えときますね!」と晃くんは笑った。

「もちろん俺は…」と言いながら、猫みたいなポーズをとっているRB。

「…にゃんこ?」ってやっぱり言ってしまった晃くん。

「ニャーンってちにゃーう!」と乗っけてくるRB。

「RBは妖狐だよ。私から言わしたら、人間に1番近い妖怪。そして、人間が頼りに来る妖怪ね。てことで、白い狐ちゃんだよ。耳と尻尾がモフモフしてて触り心地かなりいいんだから!」と私が言うと、RBはニッコリ微笑んだ。


数日後ー

ハロウィン当日を迎えた。この辺りは魔力を使えるものが総仕切りハロウィンをリアルに演出する。

怖さと、リアルさを追求した世界、そこに加わるのが、人間たちの楽しみ方。

そこら中に響き渡る『トリックオアトリート』の声。

笑い声やお菓子が飛び交う。素敵な空間。

狐ちゃんになったRB登場。カッコいさと可愛さを兼ね備え、尻尾をフリフリしながら『トリックオアトリート』と言いながら色んな人からお菓子を貰い歩いている。

RBはお菓子が大好きらしく、毎年この日を心待ちにしてるらしい。

晃くんはというと、メイクも完璧に見事なジャック・スパロウになりきっていた。剣はもちろんのこと、ドレッドヘアーのウィッグ、帽子、少し血のりがついた暴れん坊感まで完全再現。そしてなんといっても極めつけは、つけ髭…

私と省吾が言葉を失うレベルのクオリティーだった。

ホントに初仮装なの?!と思うほど。

そのなりで『トリックオアトリート』なんて迫るもんだから皆少しビビってるほど。

けど、RB見たく、お菓子を貰えると素直に喜んでるところが可愛い。