あたしと青で見ていたことで視線に気づいた男性がアタシを見て目を丸くした。
そして女性の制止を振り切ってこっちに走ってくる。
「…青、お帰り。それと……」
近くで見ると仮定が確信へと変わる。
青よりも大人びたその顔立ち、でもあたしに向けられる笑顔は何年経っても変わらない。
「…りく…兄……?」
当時呼んでいた2つの呼び名のうち一つを呼ぶと、静かに伸びてきた綺麗な手が優しく頬に触れる。
「……ずいぶんと綺麗に…大人っぽくなったね……ちゅん。
いや、今はそう呼ばれる年でもないから雀って呼んだほうがいいのかな?」
どれだけ外見が大人びてもあの時と変わらない優しさに涙が出そうになる。



