その瞬間、すかさず志乃は袖を掴んでいた手を離し、俺と距離をとる。
声のした方を見れば、同じクラスの女子二人が少し驚いたような、どこか目を輝かせながら俺たちを見ていた。
「うそ…!本当に志乃と加藤くんじゃん!」
確か、志乃と同じグループの女子たちだったはず。
ちらっと志乃を見れば、明らかに戸惑っていた。
というか焦っているようにも見える。
「もしかして二人って付き合ってるの!?」
女ってすぐそういう話題に持っていく。
でもあえて俺からは答えずに志乃の返事を待った。
そしたら志乃は、少し間を空けてからいつも通り笑顔で口を開いた。
「今日はね、たまたまお互いの時間が合ったから映画館に来ただけだよ」
明らかに女の質問はスルーし、遠回しに付き合っていないと言う志乃の心理は俺にもわからねぇ。
どっちにしろ、幼なじみとしてしか見られていないのだから何考えたって無駄なんだけど。



