離れているから抱きしめることもキスすることもできない。



「じゃあ早く寝ないとな」
『う、ん……寝る…』



だんだんと志乃の声が遠のいていく。



少しして完全に志乃の声が聞こえなくなった。



まだ起きてたらダメだから、一応しばらくは繋いだままにしていたけど、どうやら寝たようだ。



「……寝るか」



志乃の朝も早いが、俺の朝だって遅いわけではない。



電話を切り、アラームを設定する。



その後にスマホを置き、目を閉じれば案外すぐに睡魔はやってきた。



俺の一日が終わる。



そしてまた、幼なじみに一時間早く起こされる朝がやってくるんだ。