「志乃?」
もう一度名前を呼ぶと、ようやく志乃が反応を示す。
『大雅、あのね…寂しくて寝れないの…』
その声はか細く、弱々しかった。
「じゃあもう今ベッドの中か?」
『うん、そう……』
朝が早い志乃は夜寝るのも早い。
「じゃあ俺も寝る」
特にやることもないし、あるとしたら勉強ぐらいだから寝ることにした。
『大雅も寝るの?』
「ああ。まあ志乃が寝てからな」
『じゃあ電話繋いだままでいいの?』
「志乃が寝るまでずっとこのままな」
『嬉しい…ありがとう』
そう言った志乃の声は嬉しそうで、なんとなく笑っている姿が想像できた。



