「毎回そんな悲しい顔されるの困るんだけど」



俺に寄り添う志乃の腰に手を回し、俺からも志乃を受け入れる。



「だって…寂しい…。
大雅のいない時間は寂しいよ…」



ぽろっとこぼす志乃の本音。



志乃は家に帰れば大体家に父親はいない。
仕事で忙しいからだ。



そうなれば一人ってことで。



寂しがり屋な志乃なのに、孤独と戦っているのだ。



たまに泊まる時もあるが、志乃自身こういうところは気を遣うようで滅多にない。



何か正当な理由がないと志乃が泊まりにくいようだった。



例えば今日みたいな『ご褒美』として、泊まるというような形で。



今日は断ってしまったが、こんな悲しい顔されたら肯定したくもなる。



俺が我慢すればいい話なのだから。