「先に準備してからだ。
早く離れろ」
「むー……」
俺が二度言うと、志乃はむすっとしながら離れる。
自分が可愛いとわかって、そんな顔してる気がするけど残念ながら真逆だ。
自分の容姿がいいことに気づいてない。
くっきりとした大きな二重の目に肌は白く、血色のいい唇には何度キスしそうになっただろう。
これで甘えてくるから、例えれば子犬だ。
「ほら、後でいくらでも甘えていいから」
少し不服そうな志乃の頭の上に手を置いて、微笑みながらそう言えば、志乃は頬を赤らめて俯いた。
自分から抱きつくのは平気なくせに、俺から何かすればすぐ照れる。



