「……じゃあ、行ったら何かしてくれる?」



何かご褒美でも欲しがるような、そんな言い方を志乃はした。



「何かするって…普通は快く行くもんだろ」



「そりゃ行ったら楽しいけど…なんだか寂しくなるの。隣に大雅がいないのが寂しくなるんだ」



どこか悲しそうに話すから、つい『じゃあ行かずに俺のそばにいたら良い』って言いそうになるのを必死で堪える。



志乃は本当に素直すぎる。



いつだって自分の気持ちを包み隠さず俺に話す。



その度に俺がどれだけ苦労しているのか、志乃が知るはずもない。