学校を出て、駅へ向かえば志乃は少し距離を縮める。
わかりやすい行動が、本当に愛しい。
「……あ、そういえば志乃。
なんで友達からの誘い断ったんだよ」
その時ふと、朝のことを思い出した。
断った理由は明確だが、あまり誘いを断りすぎるのも良くない。
「き、聞こえてたの…?」
「声大きいからな」
「そ、そっか…」
それだけ言って志乃は黙って俯いてしまう。
と思えば、また顔を上げて今度は俺を見た。
「だって、大雅との時間が減っちゃう。
それだけはやだもん」
ほら、やっぱり。
志乃が友達の誘いを断る理由はいつもこれだった。



