しかも学校の最寄り駅もまだ満員電車で。 だから必然的に密着状態になるし、志乃は抱きつきはしないが俺に身体を預けている。 俺だって満員電車の中に男がいるから志乃に触れてほしくなくて何も言えないし、押しのけることもできない。 というか押しのけることなんてするわけねぇけど。 そんな状況の中、ふと志乃が俺のシャツを掴んだ。 「……志乃」 名前を呼べば、ビクッと肩を震わせる。 この場合、何か企んでいる証拠だ。