だから俺だってやめられない。



「……ほら、行くぞ」



力の弱まった志乃をゆっくり離し、一緒に立ち上がるよう誘導する。



どうやら諦めてくれたようで、素直に立ってくれた。



「いい子」



まだ志乃は頬を赤らめていて、本当に可愛かった。
甘える姿だけでなく、照れる姿も。



「…本当は離れたくないもん」



志乃は照れながら、だけどどこか拗ねたようなそんな表情をした。



でもそんな顔したって無駄だから。



怒ってるつもりかもしれねぇけど、ただ可愛いだけ。



「今日で終わりじゃねぇんだから、そんな拗ねることないだろ」



「嫌だ、私はずーっと大雅と二人でいたいの」



今度は腕を絡ませ、志乃が俺にひっついてきた。



あー、本気で可愛い。



今日遅刻してもいいんじゃないかって、なんなら休んでもいいんじゃないかっていう錯覚に陥る。