「自分から抱きつくのは平気なのにな」
「だって、大雅にこうしてると落ち着くんだもん」
だから仕方ない、とでも言いたげに志乃は話し、その後は黙って俺にしがみつく。
そんな志乃の頭を撫でる。
そうしてずっとその状態でいると、一時間が経った合図としてスマホのアラームが鳴った。
途端に志乃の身体はビクッと震え、さっきの倍以上の力で俺に抱きついた。
それもいつものことで。
ここからどれだけ早く志乃を離せるかが俺の勝負である。
じゃないと一生離れないんじゃないかってくらい、志乃はこの状態を保とうとする。
そしたら遅刻確定だ。



