斜め前に視線をやれば、志乃は少し潤ませた目で睨むようにこっちを見ている。
秀紀もまあ睨んでいるようなものだ。
俺と目が合うなり、志乃は手でバツマークを作る。
そして小さく首を振って、訴えかけるその姿からもう可愛くて仕方ない。
そんな志乃を見て今度は笑ってしまう。
「ひ、ひどい…!」
ひどいって言われても、志乃が可愛いことするのが悪い。
「そっちがその気なら、俺たちだって浮気してやるからなー!」
「やだ!!
菅野くん嫌いだもん、彼女になりたくない」
「ちょ、志乃ちゃんだからあの時は誤解だって」
二人の息が全くあっていない。
終いには佐野に、「あんたたち何がしたいの?」と言われる始末。



