「私、大雅にだけは嫌われたくない…」
俺に抱きつきながらそう言った志乃。
だけどその言葉にはどんな意味が込められているのだろうか。
きっと幼なじみとして、唯一心を許せるのが俺だからなんだろうけど。
「俺が志乃を嫌うわけねぇだろ」
安心させるように言えば、志乃は「本当?」と聞いてきて。
「嘘って言ったら?」
「やだ……絶対泣くもん」
少し冗談を言えば、また顔を上げて俺をじっと見つめてくる。
そんな志乃につい笑ってしまう。
「ひ、ひどい…笑うなんてひどいよ…」
「悪い悪い。
本当に決まってんだろ」
本当だ、と言っても笑われたことが不服なようでまた拗ねる志乃。



