慌てて志乃は俺から離れ、涙を何度も拭う。
「おい、目腫れるぞ」
「だ、大丈夫だよ…!本当にありがとう」
そうやってまた笑顔を作る。
俺にとったら不自然な笑顔。
少ししてリビングにやってきたのは案の定、聡介さんで。
「志乃…!」
急いできたのか、着ていたスーツがと息が少し乱れていた。
「お父さんおかえり!
もー、せっかく待ってたのに約束破るなんてひどいよ」
そんな聡介さんを笑顔で迎える志乃。
はたから見ればいつものように見える。
が、聡介さんはそんな志乃を優しく抱きしめた。
「ごめんな、志乃。
約束守れなくて、寂しかったよな」
さすがは志乃の父親だ。
志乃が無理してるのがわかったようで。
最初は平気だって言ってた志乃が、また泣き出してしまう。



