「俺も行ってくる」
玄関に行ってしまった志乃を追いかけるように、俺も玄関に向かう。
「……あれ、大雅?
どうしたの?」
そんな俺に対しても平気そうに話す志乃。
「……送る」
「送るって、すぐそこなんだし大丈夫だよ」
まだ笑顔で話しているけど、心からの笑顔じゃない。
「まだ志乃といたい…って理由じゃダメか?」
そんな志乃に対して俺は笑わず、真剣に言えば初めて志乃の目が揺らいだ。
こういう時に限って志乃は我慢強い。
迷惑をかけないようにと思っているのだ。
「……行くぞ」
さすがにここでは泣きたくないだろうから、志乃の家へと急ぐ。



