ーーー「あ、じゃあ私そろそろ帰るね!今日はありがとう」 志乃が嬉しそうに笑う。 今、ちょうど九時を過ぎたところで志乃が帰ろうと立ち上がる。 あれからも聡介さんから連絡はない。 「もう帰るのか? 聡介もまだ帰ってきてないし、なんなら泊まっていってもいいんだぞ?」 志乃のことが大好きな父親がそう言うけど、志乃は頷かない。 「ありがとう。 気持ちだけ受け取っておくね」 志乃は遠回しに断り、またお礼を言ってリビングを後にした。 本当に帰る時は早いんだよな。