「そうね。
聡介さんの分も私たちで食べちゃいましょう!」
「それは聡介が可哀想だろー。
せっかく志乃ちゃんも作ったのに」
「ふふっ、冗談よ冗談。
ちゃんと残しておきましょうね」
そんな両親の何気ない会話に、俺の隣に座る志乃が一瞬羨ましそうにしているのが見えた。
けどすぐその表情を笑顔に戻し、ご飯に目を向ける。
その動作から何から、志乃は自然だった。
その自然さが不自然に見えるのは、きっと俺だけなんだと思う。
「大雅?どうしたの?」
無意識に志乃に向けていた視線に気づいたらしく、志乃が俺を見た。
「いや、なんでもねぇよ」
志乃が無理に明るくしようと頑張ってるのなら、俺も志乃に合わす。
そうしないと志乃の頑張りが無駄になってしまうから。



