志乃は危険だ。
その言葉の意味をちゃんと理解していない。
志乃から言うことがどれだけ危険かわかってねぇ。
今親がいる状況で良かったと、心から感謝することができた。
「志乃、どうしたんだ?
正気じゃねぇぞ」
野菜を切る作業の続きをするため、視線をまな板に向け志乃を見ないようにする。
「やっぱり……やっぱり好きな人いるんだ…どうして?どうして私見捨てるの大雅……」
その声がひどく切なげで、震えていて。
何故そうなるのかわからなかったが、まだ泣いている志乃に手で触れることはせず、顔だけ近づけ唇を重ねてやる。



