その時、キッチンから母親と同じように顔を出す志乃の姿が見えた。
が、そんな志乃は不安気に俺を見ていて。
やばいと思った。
普通に今の志乃の表情は泣く前兆だ。
「…冗談だよ冗談。
早く準備しねぇと聡介さん来るだろ?
俺も手伝う」
急いで話を変え、立ち上がり俺もキッチンへと向かう。
「あ、じゃあちょうど良かった。
これ、切っといてもらっていい?」
それだけ言って母親は一度キッチンから離れ、志乃と二人になった。
志乃から視線が感じたが、あえて気づいてないフリをして頼まれた野菜を切る。
その時、志乃が俺の服の裾を掴んだ。
何か言いたいことがあるのだろう。



