ひっつき虫な彼女は幼なじみ





「ほら、志乃。
もう俺から離れろ」



父親が帰ってきたというのに、いつまでも抱きつかれるのも困る。



「大雅の意地悪…」



「そうだ!あまり無理強いすると志乃ちゃんが可哀想だろ!」



なんなんだよまじで…。



志乃の味方をしてしまえば、志乃は余計わがままになってしまう。



「可哀想だって!
抱きついたままでいるー!」



ほら、やっぱり。



それで志乃が俺に甘えてしまえば今度は父親が羨ましそうに見てくるのだ。



まじで意味わかんねぇ。



早く母親が帰って来ないと誰もこの父親は止められない。



「もうどうにでもなれ…」



俺はもう諦めることにし、志乃を受け入れる。




それからしばらくこの状況が続いたところで父親は用があるからと悔しそうに言って出かけ、ようやくまた志乃と二人きりになった。