そんな父親に対し、今度は志乃が反応した。
「大雅を責めないで…!
大雅は悪くないもん。
私が全部悪いのー!」
まだ涙を流しながら訴えるその姿に、父親はすぐ悶えたような姿勢に変わり。
そう。
俺たち加藤一家は全員志乃に弱い。
志乃に勝てる人間は誰もいないのだ。
「そうだよな、怒ろうとした俺が悪いよな。
全部俺が悪いんだ、志乃ちゃんは悪くない。
よしっ、志乃ちゃん。
大雅じゃなしに俺のところへおいで…!」
まるで小さな娘を溺愛する父のように鼻の下を伸ばし、両手を広げる父親。
けどそんな父親のところに志乃が行くはずもなく……
「やだっ!
大雅パパじゃなくて大雅がいいの!」
またぎゅっと俺にしがみつく志乃を見て、父親は本気でショックを受けていた。



