「も…ダメ……」
目を潤ませ、顔も真っ赤で、息も乱れている志乃。
上目遣いで俺を見つめる。
だからそれがダメなんだってわかってない。
それでももう一度、キスをしようと顔を近づければやっぱり志乃は目を閉じる。
言ってることとやってることが違うな、と思いながらもキスをしようとし、お互いの唇が触れようとしたその瞬間……
いつの間に、帰ってきていたのだろうか。
「久しぶりの我が家だぞ!
ただい………ま……」
勢いよくリビングに入ってきたのは他でもない、俺の父親で。
目を大きく見開き固まる父親。
甘い時間が強制終了されるような、そんな音が聞こえた気がした。



