「本物のバカだな」
「バカでいいもんねーだ!」



ぎゅうっと抱きついてくる志乃はすっかりいつも通り。



「ほら、わかったから離れろ。
一応ここ玄関だから。


一回着替えてこい」



「うー…すぐそうやって上手いこと言う…」



「上手いことってなんだよ。
順番があるだろ」



志乃は渋々といった顔で俺から離れる。



「じゃあすぐに着替えてくるね!」
「焦って転けるなよ」



「そ、そんなドジじゃないもんね…!」



そう言って、志乃は俺の家を後にした。



どこまでも天然な志乃に、俺はかき乱されてばかりいた。