一度も染めたことのない、綺麗なセミロングの髪に添って志乃の頭を撫でる。 飼い主にしか懐かない子犬だ。 こんなにも俺に甘えるのは、俺しか甘える相手がいないからかもしれない。 それは昔から、ずっと。 母親もいなければ、父親とも会える時間が少ない。 誰よりも、志乃と一緒にいた時間が長いという自信がある。 だからこそ、他の男なんかに志乃を渡す気なんてねぇ。 志乃を独占したい欲は誰よりも強い。 こんな可愛い志乃の姿、絶対誰にも見せたくない。