「何か言いたいことあるのか?」



もう一度優しく聞けば、志乃の大きな目が一瞬にして潤み、大粒の涙が溢れ出した。



「おい、なんで急に泣いてるんだよ」



頭を撫でてやるが、志乃は首を横に振るだけで泣きやまない。



これじゃあもし誰かに見られた時に目立ってしまう。



だから俺は志乃の腕を引き、家の中へと入れた。



そして玄関に入ってすぐ、志乃の方を向けばさっきよりも泣いている。



「ほら、泣いてるだけだとわかんねぇだろ?」
「……っ、うう…だって…」



ようやく口を開いた志乃は涙声で。



俺のシャツを掴む力がより一層強くなり、しまいには引っ張り出した。