友達に誘われて行った大学の合コンで
久しぶりに会ったのは


高校3年間同じクラスだった
松末倫也(マツスエ トモヤ)くん




特に仲がよかったわけではないけど
なぜが倫也くんと話すことに抵抗はなかった



高校時代の思い出話をして
そのままいい感じになって
結婚した



私はちゃんとした女性になるために
オシャレも料理も必死に勉強した



倫也くんに迷惑かけないように



結婚してからは毎日が充実していた




でもなぜか心には
ぽっかり穴が開いたままだった。



倫也くんは素敵な人だよ


だから結婚したんだ



一緒にいたいって思ったから…だよね?






「お母さーん!」

私たちにはもうすぐ高校生になる娘がいる


ほんと私によく似てる
特に目元がそっくり



「ねぇ、私の怜央って名前
お母さんがつけたんだよね?」



「そうよ」



「由来ってあるの?
自己紹介する時間があると思うんだ
その時に言おうかと思って」



「美しい心を持って
堂々と人前に立てる人になってほしい」



「なんか綺麗な言葉だね。
私さ、小学生のころはこの名前嫌いだったんだ。
だって男の子みたいじゃん?
でも今はすごく気に入ってるの!
お母さんありがとう!」



まさか娘にそんなことを言われる日が来るなんてね




ズキン …




心が痛む





『ねぇ、陽人。
子どもができたらなんて名前つけるの?』

『んー、"怜央"かな』

『なんで?』

『美しい心を持って
堂々と人前に立てる人になってほしい。
だから怜央だ』





高校3年の春に
陽人と話したことを思い出した

私は子どもができたら絶対
"怜央"って名前にするって決めてたの




もうすぐ40になるのに
高校時代の恋愛が忘れられないって変よね



「お母さーん!
今日も高校の時の話聞かせてー!」


「えぇ?また?」


「うん!
お母さんの話はいつ聞いても飽きないよ。
特に陽人さんとの話はね」



最近娘は私の高校時代の話が聞きたいと
目を輝かせて寄ってくる


本当に楽しみなんだな、高校生


私も、もう一度やり直したいくらいだよ



娘に自分の恋愛の話をするのは
なんだか恥ずかしい。
でも自分の子どもに嘘はつけなかった




「えー!?陽人さんと別れちゃったの?」


「うん…
今でも彼のこと忘れられないんだけどね」



「そっか…
陽人さん今ごろなにやってんのかなぁ」



「あなたが気にすることないでしょ?
さぁ明日から学校なんだし、早く寝なさい」


「はーい」


娘は私のことをどう思ってるんだろう
元カレのことが忘れられない私のことを