高校3年の秋

1年と少し経った頃


「夕雨さ、重いと嫌われるよ?」


「あの後輩可愛くない?」


「この子、彼女にほしいな」


そんなことをよく口にするようになった陽人



もしかして…とは思ったけど
私からは絶対に言わなかった



本人に言われるまでは気づかないふりをした。





高校3年11月

私たちは大学の受験日がたまたま同じだった

そして1週間後

合格通知が2人の元へ届いた




おめでとう





いつものように電話していた



受験が終わったから今度の休みはなにしよっか



話題をふろうとした時






「俺さ、今日告られたんだ」










「あの後輩ちゃん?」




「なんで知ってんだ?」



「そんなの、陽人みてたらわかるよ
ずっと一緒にいたんだから」



「そうか」



まさか本当にこんな日がくるなんて


今まで気づいていないふりをしていたけど
もう無理みたいだね




陽人は後輩のもとへ行ってしまった。






気づいていたのならなんで
行動しなかったんだろう



私、重いから。
ーできるだけそう思われないようになにかした?


私、オシャレとかわからないから。
ー少しでも勉強しようとは思わなかった?


私、料理苦手なんだよね。
ーなら作れるようになれよ…





陽人の気持ちに気づいていたのに
なんで何もしなかったんだろう




もしあの時、私が変わっていれば
こんなことにはならなかったのかな




終わってから後悔する




優しい陽人のことだから
離れないでいてくれるだろう



甘えてたんだ



自分ひとりじゃなにも出来ないくせに





変わる努力をしなかった私が悪い






冷めてるってわかってたのに
変わろうとしなかった自分が…





こうなったのは私のせい




「お幸せにね」




そう言って陽人を見送ることしかできなかった