10日間彼氏

だから、彼は、名前も教えてくれない。

ノロノロと散らばったノートやプリントを拾い集めていたら、白くて細い手がノートを拾い集めてくれる。

慌てて顔をあげると、それはあの綺麗な彼女の手だとわかって、ギクリとしてしまう。

「大丈夫ー?凄い音がしたね。足にあたらなかった?先生、こんなにいっぺんにもたせるのひどいよねー」

彼女は優しい口調で気遣うように笑顔をむけてくれている。

「あ、すいま・・」

小さな声しかでなくて恥ずかしくなって黙りこむ。