「はーい、空の旅からお帰りなさい。お気をつけてお降りくださいっ」

いつのまにか、観覧車が地上に着いていて私達は、キスする寸前の体勢で、係りのお兄さんにドアを開けられた。

観覧車の係りのお兄さんは、顔色ひとつ変えなかったけれど、もう慣れたものなのだろうか。

は、恥ずかしい。イチャイチャしているように見えたかな。

でも、キスはしてくれなかった。

キスしょうとして、途中で辞めたみたいだった。

したかったのにな、キス。

観覧車を降りて前を歩く彼を、無言で追いかけた。