10日間彼氏

彼女を庇いたいとかじゃなくて、彼を傷つけたくなかっただけだった。

「やっぱり、桃ちゃんは優しいんだな。どうしてそんな風になれるの?」

何かを知っているような彼の顔にドキッとした。

私の浅はかな考えなんて全部お見通しなのかな。

「ほんとのことだよ」

苦し紛れに笑ってみせる。

「いいよ、もう隠さなくて。ユイカから話しを聞いたんだ。彼女、謝ってくれたよ。あんまり腹が立ってつい衝動的にゴミ箱に捨ててしまったって。後悔してるみたいだった」

淡々と説明する彼は少し俯いていた。