私も腕を伸ばして、ギューッと彼の背中にしがみつく。

いい香りが鼻をくすぐる。

石鹸みたいに甘やかな香り。

ああ、夢の中にいるみたい。

こんな気持ち初めてだ。

しあわせ。

私は目を閉じる。

「あの、もういいかな?1人でちゃんと立てる・・よね?」

困ったように、離れようとする彼に

「ま、まだ無理です」

私はすかさず嘘をついた。

「じゃあ、この10日間のルールを今から言うから、ちゃんと聞いててね」

彼は諦めたように、ふーっと息を吐いた。

「はーい」

夢心地でしがみついた私は、彼の声を耳元で感じながらうっとりと目を閉じていた。

10日間、彼は私のもの。10日間、だけだけど。。