10日間彼氏

その隣には伊藤さんと呼ばれた彼女が彼に寄り添うように、笑顔で立っている。

彼は私の顔を見ても、眉ひとつ動かさなかった。

この人、詐欺師になれるんじゃないかしら。

もちろん、結婚詐欺師に。

調子に乗った野口先生の次の言葉には閉口した。

「森沢、伊藤、お前らほんとに、高校時代から仲良いなー、結婚式には、俺も呼べよ」

「もうっ、野口先生ったらー」

伊藤さんと呼ばれた彼女は、嬉しそうだ。

「高校の時に、付き合ってただろ?お前ら」

「高校の時はそうでしたけど、ね、森沢くん」