「え?ああ、彼女がいることくらいは言っても問題ないよ。名前は言わないから」

はじめに彼が決めたルールの二つめは、私達が付き合っていることは秘密にするというものだった。

彼女と一緒にいるって、青くんがユイカさんに言ったよね、今たしかに。

彼女がいることを、ユイカさんに伝えるってことは、やっぱりユイカさんはただの友達なのかもしれない。

少なくとも、二股疑惑は完全に消えたよね。

「お腹すいたー。ハンバーグ食べたい」

ニコニコしながら彼に手を伸ばして、小指と小指を絡める。

「うん、じゃーいこ」

彼の大きな手に、他の指もふわりと包まれる。

「泣き止んでよかった」

ポツリと意味深に呟く彼に、ドキッとする。

私の機嫌をとるためにあんなことを、わざと言ったのだとしたら、ちょっと青くんのカンは良すぎるけれど、まさかそんなはずはないだろう。

(いま、彼女と一緒にいるから行かない)

青くん、凄く嬉しかったんだよ、彼女って言ってくれたことが。

その後、顔が火照ってくるのを抑えるのが大変だった。