「楽しみだなぁ〜」
「映画とか何年ぶりだろう」
「俺も俺も!」
今回観る映画は私には似合わない恋愛映画。
学校一のドジな子と学校一のチャラ男が恋をする話みたいなんだけど、私にはさっぱり分からない。
でも、優希が観たいみたいって言うからこれに決定した。
「もう始まるね」
「そうだね」
真っ暗になった映画館は優希の顔もまともに見えない程だった。
『私は東星ヶ丘高校三年の楠木里穂(くすのきりほ)
ドジで恥じらいもなく、いつもだらしないことから男の子っぽいと言われます。』
『この子は同じクラスの今野(こんの)かなめちゃん。
かなめちゃんとはすっごく仲がいいんだけど、私とは対照的で可愛くて清楚キャラないかにも女の子って感じの子です。』
スクリーンには、かなめちゃんの顔が映っている。
かなめちゃん役の女優は超人気で特に男の子からの人気はすごい。
対して、里穂ちゃん役の女優は最近テレビに出始めたばかりで、そんなになの知れていない女優。
けど、実力がすごくあるみたいで、いきなり主役に抜擢されたそう。
私はあまりそういうのには詳しくはないけど、優希が色々教えてくれた。
『「り、里穂ちゃん!」
「かなめちゃん?どうしたの?」
「そ、その・・・これ・・・」
「ん?・・・・・・」』
里穂ちゃんの手に乗せられたのは1枚のハンカチだった。
『「私のハンカチ〜!ありがとう!」
「ポケットから落ちてたよ。ちゃんと奥に入れた方がいいよ。」
「そうだね!いつもありがとね」』
里穂ちゃんは天真爛漫な感じで元気な女の子だけど、かなめちゃんは静かで頼りになる感じの子なのかなぁ。
