『ありさと青年は愉快に踊った。
美しく軽やかに・・・
「姫!ありがとうございました!
こんな身分の低い者のお相手をして下さり本当にすみません。」
「いえ。それより質問に答えていただきたいのですが・・・」
「あぁ、そうでしたね。ではお教え致します。」
青年は深く息を吸い、ゆっくりと口を開けた。
「貴方がとても魅力的に見えたからです。
例え服がボロボロでも、髪がぼさぼさでも、
すっぴんでも、僕には美しく感じました。」
確かにありさはボロボロの服を着ていて、絡まりまくった髪の毛。何日か前にしたメイクもほぼとれている状態。
それなのに彼はありさのことを魅力的感じたという。
「今すごく何故かドキドキしています。
このドキドキは一体なんなのかは分かりません。
ですが、きっと僕は貴方に恋をしているみたいです。」
ありさは誰かを好きになるという気持ちは分からなかった。だから、この青年のことをどう思っているかは分からないが、心臓がバクバク動いていることだけは感じとれた。
「私のことを何も知らないのに恋に落ちるのですか?」
「姫に僕のようなものがこんなことを言うのは大変失礼ですが、どうやら一目惚れをしてしまったみたいです。」
「その恋はどのくらいのものなのでしょうか?
たとえ私が姫じゃなくても貴方は私も愛し続けることが出来ますか?」』
話の展開的にラストスパートな感じがして私は残りのページ数を見る。
後、10ページほどだ。
『「ええ、愛することができるような気がします。姫じゃなく、一人の人間として貴方のことをこの瞳映し出せると思います」
青年の瞳はまっすぐだった。ありさはそんな彼の瞳に心を打たれてしまった。
「なら、一つ謝りたいことがあるのです。」
「謝りたいことですか?」
「ええ。
・・・私はフラリアン村の姫ではないのです。」
「そ、それは・・・どういった・・・。」
「騙して申し訳ございません。私はごく普通の庶民です。貴方様と身分はそれほど変わらない者でして・・・」
「そ、そんな・・・」
「それでも、それでも・・・
私を愛してくれますか?
私もどうやら貴方に惚れてしまったようなのです。」』
読んでる私にも緊張が走る。
