「じゃあ、帰るね。バイバイ」
「ちょっと待って!!優希・・・!」
教室を出ていこうとした優希をとめた。
「ん?」
「最後に・・・ひとつ言いたいことがあるの。」
「何?」
「・・・
こんな根暗で日陰女の私を好きになってくれてありがとう。
私に好きという意味を教えてくれてありがとう。
好きにさせてくれてありがとう。
誰に何を言われようと私の初恋は優希でしたっ・・・!」
涙が次々に出てきて上手く声が出ない。
視界が揺れて優希の顔がちゃんと見えない。
「そんなこと言われたら・・・
・・・日向ちゃん、反則だよ」
「っ・・・」
再び私の体は優希に包み込まれた。
ぐっと引き寄せられるように・・・
「さようなら」
「さよなら」
ありがとう・・・優希。
私は優希の背中を最後まで見つめていた。
これが正解なのかは分からないけど、
私はこれでよかった・・・ きっと。
明日からは友達に戻る。
少し遠い存在になるんだ。
でもこの関係が今まで通りだったんだよ。
この前までと同じ。何ら変わりない生活を送ればいいだけなんだ。
ブーブー♪
制服のポケットからバイブ音が聞こえた。
スマホを取り出し、画面を見ると つばさちゃんからだった。
『今あいてる?ちょっとお茶でもしない???』
ほんと、つかさちゃんって私のこと知ってるんだね。まるで、監視されてるみたい(笑)
頬についていた涙を手で拭いて、約束の場所へ向かった。
「えっ・・・もしかして吉木さん?」
カフェに行く途中 何者かに声をかけられた。
私の名前を知っている?
私は直ぐに顔をあげた。
