「ねぇ、瑠璃と優希くんってお似合いだよね。

美男美女だし〜」




後ろから聞こえる声。



「そうかもしれないけど、やめときなって!

優希くんの彼女は吉木さんなんだから」



「なんで、吉木さんがいいのかは今でもわかんないけどね。」






みんなひどい。
ずっと私たちのことそんなふうに見てたの?





『「姫。僕の願いをひとつだけ叶えてくれませんか?」


「願い?」


「ええ、ちっぽけな願い・・・聞いてくれませんでしょうか?」



「どんな願いなのですか?」




ありさは内心焦っていた。

姫しか出来ないような願いだったらどうしよう。
この嘘はすぐにバレてしまうのか。



「願い・・・は

一緒に踊ってほしいのです。」


「踊る、のですか?」


「はい、こんなちっぽけな願いかなえて頂けますでしょうか???」



ちっぽけなんかではない、
踊れないありさからしたら大掛かりなことなのだ。


「いいでしょう。

その代わり私の願いも聞いてくれますか?」


「本当ですか!ありがとうございます!!

姫の願いはどんなものなのでしょうか?」



ありさは この青年に聞きたいことが山ほどあったのだ。でも、ひとつだけ必ず聞きたいことがあった。



「あなたは写真でさえ見たことの無い
村の姫をなぜ私だと思ったのですか?」


これがとても気になっていた。

普通の魅力の欠けらも無い私が姫のように見えた理由。



「そ、それは・・・その。なんというか・・・


あっ、踊った後に言います。必ず。」



「分かりました。踊った後、必ず。
教えてくださいね。」』