「これじゃ・・・」
「教室戻れないわね!」
「ひ、ひどい・・・」
「何がひどいのよ!それはこっちのセリフ!
私のこと嫌味のように・・・!
この根暗女が!!!」
バチンっ!
右頬がだんだんと熱くなってきているのが分かる。
痛い。痛いよ、優希。
根暗なことは分かってた。
でも、最近はそんなことだって忘れかけてたのに・・・
忘れたかったのに・・・
キーンコーンカーンコーン
かすかに聞こえるチャイムの音。
1限目授業開始のチャイムだ。
授業なんてサボったことなかったのにやってしまった。
この虐められている状況よりも
気持ちはそっちの方が強い。
「さ、私は教室に戻るわね。
こんな所に助けなんて来ないと思うけど・・・(笑)
せいぜい頑張るがいいわ!」
そう冷たい言葉を浴びせて、有田さんはトイレから去っていった。
この狭い空間、私は1人取り残された。
タオルすらないから、外には出れない。
このまま一生ここ?
叫んだら聞こえそうだけど、そこまでする勇気はない。
でも、濡れてるから風邪ひいちゃうよね・・・
もうどうしよう!
私は濡れた髪の毛を触った。
「あっ!」
いい考え思いついた!
たまたま、手首についていたゴムを見つけた。
これで髪を結ぼう。
そして、ジャケットを脱いでトイレのドアの突起部分にかけた。
スカートはあまり濡れていないから、あとはシャツだけなんだけど・・・
これが、また・・・透けちゃってて、外に出れそうにないんだよなぁ。
