ただ



「ねぇ、吉木さん。少し話があるんだけど。」



ポケットに手を突っ込んだ有田さんが話しかけてきた。




予想はしてたけど、いざ呼ばれたとなると少し怖い。




「う、うん」






連れていかれた場所は人があまり使わない女子トイレ。



薄暗くて不気味。






「なんの話しか分かるよね?」


「・・・えっ、





・・・ゆ、優希のこと・・・・・・?

・・・だよね?」






「ふっ(笑)



・・・ぴんぽーーーん!


だいせーかーい!」







壁にもたれ掛かりながら睨むその目は鋭くナイフのようだ。





「分かってるんだったら、手っ取り早いわね」



「何をする気?」



「さぁね?それはお楽しみってことで。」



「っ・・・」






有田さんは壁から離れて手洗いの蛇口を回した。




ピチピチと跳ねる音をならして流れる水。




有田さんはそれをすくって、眺めた。





「ふふっ」




指と指の少しの隙間からでも出てくる水。



やがで、手の上には水がなくなってしまった。







「さぁ・・・



ひと暴れしましょうか」



「へ?」





もう一度 水をすくって、さっきとは比べ物にならないほどのスピードで顔の方に持ってきた。





そして、ニッコリ笑った。






「きゃっ!」




「ふはははっ!

あーあ、びしょびしょじゃなぁい」






水をかけられてしまった。





「どうせだったらもっとかけてあげるね?」




「やめて」




「無理〜!だって楽しすぎるんだもん!」





何度も何度もかけられた。



下着が透けるほどに制服は濡れた。






最後にはバケツいっぱいに入った水を頭の上から流された。



私は逃げることはできなかった。