「ねぇ、あれ 吉木じゃない?(笑)」
「そーじゃん!うけるんですけど(笑)」
私はあの日、お母さんに友達と遊んでくる と言った日。
1人で公園に座っていた。
遠くの方から私に向けての声が聞こえる。
「はくしょんっ・・・」
自分ことを噂されたらくしゃみ出るって結構聞くもんね。
「吉木さん」
俯いていた私に声をかけてきたのは、先程 私の噂話をしていたクラスメートの神山さん。
「・・・な、なに?」
「やだー、そんなに怖がんなくても〜!」
その言葉が怖い。
「それで何?」
「・・・ここで何してるの?(笑)」
「何って・・・。
何もしてないけど。」
「良かったら、一緒に遊ばない?」
「私と?」
「うん!」
神山さんが、まさかそんなことを言ってくるとは思わなかった。
中学1年生の冬。初めて友達ができた。
「ねぇ、なの〜!どこ行く?」
「ううーん。吉木さんはどこ行きたい?」
「私は・・・図書館に!」
「あっ、じゃあバッティングセンターにでも行こっか!」
「いいじゃん!」
「・・・」
結局、電車に乗ってバッティングセンターに来てしまった。
「私からやってもいい?」
神山さんは、ヘルメットを被り バットを持って バッターボックスに立った。
「頑張れ!ゆきほっ」
始まった。
前から飛んでくるボールは秒速120キロ。
中学1年生の女子にしては少し難しいのじゃないだろうか。
「え、こわーい」
神山さんは怖がって、空振りどころかバットさえ振らない。
ようやく振ったかと思えば、かすることもないようなスイング。
「ゆきほ!代わって!!
なのやりたい!」
「いいよ!
意外に難しいからっ」
