日向はキミのもの。









お母さんは時々、私に謝ってくることがあった。




幼稚園で仲間外れにされた時。
小さかった私は、まだハブるという行為の意味が分かっていなかった。


毎日毎日 顔が曇っていた私。



「日向ちゃん、ごめんね。


本当にごめんね。こんな可哀想なことして。」





わたしは首を傾げて、お母さんの目だけを見つめていた。






私は友達が1人も出来ないまま、小学生になった。


幼稚園の頃から知っている子もたくさんいた。





「ほのちゃん、遊ぼ?」


「日向ちゃんとは遊びたくないっ!」




小学校低学年のことはまだ考え方も幼く、ポジティブだった私は みんなに仲間外れにされていることに気がついていなかった。





「日向ちゃん!今日はお友達できた?」


「ううん・・・」




お母さんは毎日のように私に友達ができたのかと問いかけてきた。


できるはずもないのに。




「なのかちゃんのせいでしょ?」


「違う!なのは何もしてない!」


「はーっ?」


「ゆ、ゆきほちゃんのせいじゃない!」




高学年になり、考え方も大人になった頃
周りは皆、友達同士での喧嘩が多くなった。


その喧嘩も今までとは違う。ものの取り合いなのではない。


人間トラブルだ。





そこで私は確信したのだ。


友達なんていらない。


変なトラブルに巻き込まれてもゴメンだ。




「日向〜、近所の真中さんから唐揚げ頂いたわよ〜」


その頃、お母さんは前に比べ いきいきとしていた。


近所付き合いが良くなってきたからだ。



「勉強してくる」


「あら、元気ないわね

お母さんが相談に乗ってあげる!」


「いい。お母さんには関係ないでしょ?構わないで」





思春期真っ盛りの私にはこんなことしか言えなかった。


せっかくお母さんが、近所の方と仲良くなれて喜んでいるというのに・・・。