「てか、もう4時なんだね」
「だねー」
窓の外を見ると、日はまだ明るい。
夏って感じがするなぁ。
「日向ちゃんってさ、中学時代はどんな子だったの?」
「何?急に(笑)」
「いや、普通に気になるなぁって」
優希が私の過去のことを聞いてくるなんて、これが初めてだ。
私に気を使って、何も聞いてこなかったのだと すっかり思い込んでいた。
「暗かった。
今よりも暗かった。」
「暗い?」
「うん。
日陰で、1人ずっと本を読んでた。」
私は窓を開けて、外を眺めながら そうぽつりと呟く。
「友達は?」
「友達なんていない。
私の周りには誰も・・・。
日が当たってできた 日影 しかなかった。」
「寂しくなかったの?」
「慣れてた。
だって、ずっとだったんだもん。
幼稚園の頃から。」
私は幼稚園の頃から友達にハブられていた。
「ななちゃん、遊ぼう!」
「ゆきほちゃん!これちょーだい!」
「かやちゃんとチョコ交換したい!」
何も言っても、何をしても、誰も気にもとめず
振り向いてさえくれなかった。
でも理由はわかっている。
私が問題なのではないのだ。
問題なのは私のお母さん。
私のお母さんはコンビニでアルバイトをしている。
お父さんは遠くで働いているため、家にはほとんど帰ってこない。
だから、さっきは5人暮らしと言ったけど、実質4人暮らしみたいなものだ。
私の家はなかなかの貧乏で、みんなみたいに 可愛い服や流行の小物など、一切持っていなかった。
周りからは可哀想って言われたり、笑われたり散々な日々だった。
お母さん同士も上手くいかず、私は次第にみんなから距離を置かれるようになった。
きっと、お母さんが子供に
私とは仲良くしたらダメと教えているのだろう。
