「わっ、!すごい〜」



「ごめんねぇ、散らかってて


弟が片付けない子だから・・・」






この前につばさちゃんが熱弁していた

コウタ という弟はズボラな中学3年生らしい。



片付けてと注意しても思春期真っ只中の男子には到底、敵わないみたい。




「もう!何これ」



つばさちゃんは床に置きっぱなしの本を拾い上げて首を傾げる。




「星坂高校・・・?」



「過去問・・・だよね」





星坂高校とは私たちが通っている学校だ。




表紙には 出題頻度の高い問題集!
と、大きく書かれている。




「航太・・・『つばさと同じ高校なんて絶対やだ!』って
私が高校に入った時から言ってた。

なのに・・・航太、こんなもの・・・・・・」



つばさちゃんの目には大粒の涙が溢れ出そうになっている。




「つばさちゃん。これどうぞ」


「あ、ありがとう」




女子力アップのためにと、この前からハンカチをスカートのポケットに忍ばせておいたんだ。




「航太くんどこにいるの?」


「航太なら、塾に・・・」




きっと星坂高校を目指して勉強しているのだろう。

うちの学校は前にも言っていた通り、進学率は非常に高い。だけどその分、入学するのも難しく 難関高校とも言われている。

そのため、塾には星坂高校の対策コースが存在するところもあるみたい。





「航太ならいける。絶対に」




過去問をぎゅっと握りしめた、つばさちゃんの拳は真っ白になっていた。



「よしっ、クッキー作ろっか!」




「うんっ!!」